農・郷ライフ 立野仁徳さん

千葉県出身でIターン就農
獣害と戦いながらネギ栽培
ネギを農業のメインに据えている立野さん

   串本町和深の立野仁徳さんは、千葉県出身のIターン就農者として地域農業の一翼を担う。主とする栽培品目はネギ。鳥獣対策に奮闘しながらも、高品質・安定生産に精を出している。
 サラリーマンとして全国各地でさまざまな仕事を経験してきたという立野さんは結婚後、「独立して仕事をしたい」と考えていたタイミングで長男が誕生。子育ては自然豊かな所でしたいという思いから、移住場所を探していたところ、偶然立ち寄ったのが串本町だった。
 田舎は何もないと言われることはもっぱらだが、串本には海・山・川が近くにある。立野さんにとっては「何でもありすぎる」と思えるほど、串本の環境に魅力を感じ、この地で生活しようと決めた。
 就農にあたり、農地中間管理機構を利用して農地を求め、当初は串本町の和深地区で農業を始めた。ニンニクなどさまざまな作物にチャレンジしたが、鳥獣害がひどく4年前にくじの川地区に拠点を移した。
 現在は妻と2人で水稲40㌃とネギを80㌃で作付けし、周年出荷する。ネギは大きく生長するのが特長の「みやび姫」という品種で、カットネギの原料として紀北地方の会社へ出荷し、地元ではJA直売所の「なんたん市」や学校給食用としても出荷する。
 「頼りになる」のはJAの営農指導員。土壌分析を活用した土づくりや、べと病やネギアザミウマといった病害虫防除、収穫時期に合わせた黒と白のマルチシートの使い分けなど、二人三脚で適地適作を模索している。
 串本町では農家の高齢化や担い手不足が深刻だ。その原因の一つは「農業が大変で儲からないというイメージがあるから」と考える立野さん。それを払拭すべく「しかるべき所得があり、農業の魅力を後進に見せることが必要。その役目を果たしたい」と意気込んでいる。