農業へのドローン技術を研究する東京農工大学の学生2人が、2月25日から4日間紀南地方を訪れ、上富田町のタカナ園で実証実験を行った。得られたデータをもとに、開発中のドローン機器の実用化を目指す。
訪れたのは、同大工学部知能情報システム工学科の近藤慎之介さん(23)と、山田実夢さん(21)。全国各地で作物・園地条件別のデータを収集していた2人は、JA紀南職員の紹介を受け、上富田町朝来の農家、井戸本拓也さん(35)に協力を依頼した。
2人が研究するテーマは、ドローンを用いた園地のモニタリングによる農作業の効率化や、画像解析による病害虫の早期発見と品質向上など。誰もがスマート農業を導入しやすいよう、運転の自動化やコスト低減も目指している。
近藤さんは、植付け場所ごとの作柄のムラをなくすため、土中の水分量や日照条件などを測る計測器と連動させたモニタリングを行う。山田さんは点群データを用い、スマホと連動するバーチャル農場などの実現を目指しているという。
2人は実際にドローンを飛ばし、タカナ圃場に適した高度の測定や、光信号の動作、画像データが正常に送られているかなどを確認。タカナの収穫体験も行い、近藤さんは「実際に農作業をしてみると、ここがもっと便利になれば、という発見がたくさんあった。この経験をシステムの改良に生かしたい」と話した。
受け入れた井戸本さんは「農業者の高齢化や人口流出は止められないので、生産性の向上や作業効率を上げる手立てに、スマート農業は有効だ。新規就農しやすい環境づくりのためにも、生育データが目に見えるのはありがたい」と話している。