脱コロナ後初の2023年産の青梅販売では、制限されていた消費地での梅加工講習会も解禁し、産地が派遣した漬け梅講師による「顔の見える」講習の有効性が市場や量販店から改めて評価された。
日本屈指の梅産地であるJA紀南と田辺市でつくる「紀州田辺うめ振興協議会」がこのほど、今年5月から6月の梅販売時期に開いた加工講習会の実績をまとめ、次年度対策を話し合った。
協議会は今年、市場や量販店の要望を受け、関東・中京・京阪神を軸に全国54会場で加工講習会を開き、消費者や専門学生、小売店担当者ら2017人が受講した。会場数は昨年の1・5倍に増加、コロナ禍前の68%まで回復した。
講習会では今年初めて、梅ジュースが果実酒ビンなどを使わずに作れる自立式のポリ容器(スタンドパウチ袋)を提案。冷凍した梅と砂糖を入れるだけで失敗も少なく、「気軽に簡単に作れ、梅加工のハードルが下がった」と受講生や量販店から太鼓判を押された。
従来から産地がアピールしてきたチャック付きポリ袋(商品名=ジップロック)を使った梅干し作りや、ヨーグルト風味になるという梅ジュースの牛乳割りなどの講師の解説に受講生も興味深げだったという。
協議会では今年の開催を振り返り、「受講生には毎年”梅しごと”をする人と初心者が混じっており、熟練者にも新しい発見があるような内容を工夫したい」としている。
受講生数もコロナ禍前の55%止まりであることから、「梅シーズン前の早くから市場や量販店にアプローチして開催数を増やしたい」と意気込む。